お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

母、喜ぶ

息子がバイト先から「もんじゃ食べに行くことになったから夕飯いらない」と連絡してきた。

めでたい。

友だちなんか要らんと突っ張っていた彼に最近、小さな変化が訪れている。

一人で行動するのを困ったとは思っていなかった。その時間の中で発酵する何かがある。このことは私自身が大人になってから知った。

それでもやはり息子が誰かに声をかけられ、本人もそれに参加しようとし始めたことにホッとする。

社会に溶け込みはじめた。

「夕飯もう作っちゃった?ごめん」

夕方4時過ぎだったので、餃子をたくさん包んだところだった。んなこたぁどうでもよろし。

「だいじょぶでっす。楽しんで」

9時過ぎか、もしかしたら10時ごろの帰宅かと思っていたら以外にも早く8時前に玄関のドアが開いた。

「おかえり、早かったね、私も食べちゃわないと」

もっと遅いだろうと気ままにあれこれやっていたので夕飯がまだだった。

「ただいま。もんじゃ、くってきた。なに、夕飯まだ食べてないの」

「うん。いろいろやってたら遅くなっちゃって。今から」

「ふーん。・・・じゃ、俺、二階にいるんで」

「あ、はいはい」

あれ。なんか・・。そっけない。

いつもなら、外から帰ってくるとどうでもいいことをベラベラ喋り、テレビを見ながらネット検索をしながらリビングで過ごす。それからやがて「じゃ」と上がっていくのだがな。

今日はワンクッションないんだな・・・。

何か、寂しい・・。

いや、でもこれはいい兆しだ。今会っていた仲間とラインで話し合うのかもしれない。外で気を張ってきたから一人になりたいのかもしれない。

いずれにしろ、帰宅して親のところに来るより大人になったということだ。

一人の夕飯を食べ終わり、洗濯物を持って二階に上がる。静かだ。

ノックをする。返事がない。寝たのか。

声をかける。返事がない。ドアを開ける。

ベッドの上で服を着たまま、大の字で寝ていた。

こ、この匂いは・・。

夫がさせるアルコールの寝息と一緒の匂いだ。

飲んできたのか。あれは酔っていたのだな。

ありがたい。

ついにここまできたか。

仕事帰りに友達と寄り道して一杯引っ掛けて帰ってきて、バタンキュー。

息子が。

ありがたい。