生きていて欲しい
検診で病院に行ってきた。
最近の不調を訴える。
「自分の中で何が起きているんだろうと思うんですが、突然波のようにやってくるんです。そうかと思うとスッと症状が消えて」
先生は血液検査の結果を眺めながらニッコリおっしゃる。
「まあねぇ。この症状は退院してもまた戻ってくる人が多いからねぇ。まずは普通に生活できているだけでも立派なもんです」
命を落とす人も少なくないのだと教えてもらう。
とりようによっては絶望的な言い方かもしれないが、これを聞いてホッとする。そうかそうか。
言葉通り生きてるだけで丸儲け。
生きてりゃいいんだ。それならできる。それでいいんだ。
私だけじゃないはず。
生きていれば、ただ、生きていればいい。
できることなら楽しみ、できることなら自分を愛し人を慈しむ喜びを知ってほしい。
でももし、そんなこと到底無理だと、そんな意欲も湧いてこなかったとしても。
それでもいい。
ただ、生きて体温を持ってそこにいてくれれば。
息子にそう思う。
夫にもそう思う。
母も姉も。
私と同じ時空を生きて欲しい。
人を殺したり傷つけたりさえしなければ
自分を傷つけることなく
心健やかにただ、生き抜いて欲しい。