グーグルアースの視点
昨日、学校帰りに息子が「かあちゃんにお土産」とコンビニでおかゆを二つ買ってきてくれた。
「風邪が流行っているみたいで、残り二つだったから買い占めてきた」
有難や。ちょうど、胃もたれと下痢で脱水気味だったのだ。
なんでわかったのだろう。
その晩いつものお決まりのやりとりが、一応交わされる。
「明日バイトだから、もうお風呂入ったほうがいいよ」
「うん」
「明日は多分、起こせないよ」
「大丈夫」
「明日の朝冷えるから、朝シャワーなんてやったら風邪ひくよ」
「わかってるよ。まだ10時前だろっ」
「ならいいけど。じゃ、先に寝るね。朝ごはん、ここに用意しといたから」
そして今朝。お決まりのように私は4時半に目が醒めてしまう。
階段から下の具合を伺うと、やはり一階からはテレビの音と灯りが漏れている。
あいつめ・・・。
放っておこうかと思ったが、こっちが目が覚めているのに放置するのは意地悪だなぁと思い、降りていく。
起こすと時計を見て悪びれもせず「寝ちまった」と言い、また床に寝転んだ。
「ちょっと!ほら!」
「うるさいな!わかってる!」
ならいい。さすがにこの時間に目が覚めていれば大丈夫だろう。
またヨタヨタ階段を上がってベッドに潜り込んだ。
次に目が覚めたのが5時38分。いやに静かだ。動く物音がしない。
やーな予感。あぁっもうっ。
床にあのまま転がっていた。
「やばっ」
45分に出れば間に合うけど何を優先させよう。食事と洗顔じゃないでしょうか・・。あぁ、でも髪が臭いっ臭くないかなっ。知りませんがな。とにかく、髪だけ洗うっ。
仕方ないのでその間におにぎりを握る。
濡れた頭で洗面所から飛び出し、時計を見る息子。
「時間ないっ。そのおにぎり、食べる時間、ないんだけど・・ごめんっ」
脱力しきっているのでもはや怒りもわかない。そのままラップに包んで冷凍庫に入れた。
そのまま飛び出していった。
もう一度ベッドに潜り込んでから、「なんなんだ」と不満が浮かんできた。
だからあれほど言ったのに。結局、毎週これなんだ。
・・・でも、まぁ、おかゆ買ってきてくれたしなぁ。
そのとき頭に浮かんできた。
この部屋から我が家の屋根とアングルが遠くなり、空から見下ろしている絵。
サザエさんやドラえもんのエンディングでよく見るあの、街全体からその家族の家を見下ろしているような視点の絵。
そしてそれがもっとぐーっと高くなっていって、関東平野、日本列島、太平洋、地球と宇宙から見下ろした映像が見えてきた。
そうそう。
その程度のこと。
遠い宇宙から見れば私がどう思った、どう感じたということは、確かなことだけど
それほど重大な事件にはならない実に平和な一コマに過ぎないのだ。
もう一度布団をかぶり、8時まで寝た。