お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

二つのお盆

「今夜は僕が皿を洗わせていただこうと思います」

歯医者から帰ると、先に冷凍のスパゲティを食べ終わっていた息子が、さらに「まだ足りないんだけどなんかない?」と言うので残ってたカレーでドリアにして出したのを食べながら言った。

「あら、うれし」

「さっきあまりにも腹が空いてたんで、母さんが買ってた堅焼きポテトと、ポン菓子、食べちゃった。楽しみにしてる奴だろ。お詫びで洗わせていただきます。夕飯終わったら、だらだらしてくれ」

あらま。それじゃ、今夜はできるだけお皿を少ない献立にしよう。

特売で買っておいたオーストラリア牛があるから牛丼にするかな。

「じゃ、おれ、二階でちょっと横になるから」

「はいはい。じゃ、夕飯6時半で」

この麗しき会話を最後に息子は今、ベッドで深い深い眠りの中にいる。

 

今夜は夫が帰ってくる。

二人で一緒に遅い夕飯になるだろう。

息子の丼に、ご飯を盛り、たっぷりの牛肉とタマネギをのせて、ラップする。これとほうれん草とミックスベジタブルとベーコンのスープ。あとはブロッコリーとトマト。

夫の小鉢に軽めに牛肉をいれる。それと胸肉とタマネギとピーマンの甘酢いため、きんぴら。そしてスープとブロッコリ。

小鉢の牛肉を見て、やっぱりもうちょっと入れてあげようかと少し足す。ちょっと少なすぎた。

もう少しいれてあげようか。いやいや。おじさんは野菜を多く。

ちょこちょこ品数だして、目先を散らし、肉少なく、野菜多く。

二つのお盆をセットしながらニヤリと笑う。

片や二階で昼寝をしているというのに、たっぷりの牛肉。片や、仕事でへろへろになって帰ってくるのに、野菜ばっかり。

夫よ。気の毒だが歯を食いしばっての、妻の矛盾だ。