お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

ズレまくる日

なんとなく元気が出なくて、二度寝したら、まんまとダンボール回収は行ってしまった後だった。家の中においておこうが、根本的なところでダメなのだった。

やる気がまったくでない。そうだ、こういう日はお化粧をしようと、鏡に向かう。

いつも、してない。

顔に血色がのったように見えると、気分ものってくる。

せっかくお化粧したんだから皮膚科にいこう。耳の上に湿疹ができている。億劫でさきのばしにしていたが「早いとこいかないと広がっちゃう」と気にはなっていたのだ。

スマホで予約をしれようとしたら、火曜休診。やる気メーター下がる。

しかし、お化粧をしたのに家の中で1日過ごすのはなにか損した気分になるので、買い物に行こうと、こんどはクックパッドを開く。

簡単、晩御飯で検索。もう、検索ワードからしてやる気がない。

殿堂入りのタンドリーチキンにしよう。つけこんで、オーブンで焼くだけ。これがいい。

ナツメグ、カレー粉、ウスターソース、不足している調味料を書き出す。それと手羽元400グラム。半分は漬け込んで冷凍しておこう。

かすかに復活したやる気モードが消えないうちに家をでた。でかけにポストをみると、予約しておいたレシピ本が届いていた。「レンジでチンするだけの晩御飯」・・・そもそも、基本的にやる気ゼロの自分に照れる。

その場で封からだし、パラパラめくると、レンジでチンして作るハンバーグがあった。なにこれ。すごい。やってみたい。メモに挽き肉200グラムとパン粉を追加し、本はポストに戻し、歩き始めた。

木綿豆腐が安かった。エノキも安い。カゴに入れる。今晩はタンドリー、明日はハンバーグ、明後日は麻婆豆腐にしよう。すごい、献立プランが決まっちゃった。

あ、そうだ、納豆。あ、生姜・・・ニンニクも。牛乳・・トマトも。俄かに湧き上がったやる気に調子付いて、あれこれ加わったカゴは異様に重い。肉だけでも600グラムなのだから、少しは考えればいいようなものを、その能力が私には備わっていないのだった。

重い袋を引きずって帰った頃には、タンドリーチキンの漬け込むタレの細かい調味料を測ることすら嫌になっていた。

チンするハンバーグすら、いやだ。やる気、またしてもゼロ。

時刻は3時。そういえばお昼がまだだった。しかし5時には息子がバイトから帰ってくる。今日はなんか、帰ってくるなり「腹減った、ご飯何時?」の予感がする。

おもむろに油を熱し、冷凍してあったササミのフライを揚げる。ブロッコリーをチンする。トマトを切る。牛乳とジャガイモと玉ねぎ、コンソメ、そこにポッカコーンスープの粉末をいれて、ポタージュにする。

なんのためにメモして買い物にいったのか。しかし、固執してはならない。気分に従え。

結局、家にあるもの献立になった。

すっかり予定が狂い、頭は飽和状態のまま、コーヒーとクリームパンで息をつく。

なんにもしたくない状態に、また戻る。

YouTubeで自律神経を整える音楽というのが目に飛び込んで来た。「ほら、これでも聴け」といわれているような気がしてそれをぼんやり流す。やさしいやさしい音が、脳を休めてくれる。

 

そこに息子が帰宅。

「腹減った、ごはん、すぐなる?」

ほらきた。

「できてるよ」

すべて予定からズレまくった1日。

ドンピシャだったのは、息子の腹具合だけだった。

まあいいか。

それでもなぜか、日は暮れて、それでもなぜか、幸福なのだった。