晴れやかな気持ち
朝、目覚めると雨の音がした。
しめしめ、雨を理由に今日も家の中でだらっと過ごそう。
あ・・ダンボール・・。
溜まっている、ダンボール。今日は資源回収の日だ。
あれは最初は一つの宅急便から始まる。1つ目の荷物が届き、つぶす。ぺちゃんこになったものを勝手裏の通路に置く。もう少し溜まったら出そう。翌週の火曜日は当然、鼻から出すつもりもない。
それが、なぜかあっという間に溜まるのだ。
特にこの夏は熱中症対策で、水を何度か箱買いした。そこにアマゾンで買った書籍やパソコン周りの配線コード。手のひらに乗るほどの商品も、テッシュペーパーボックスが二つは入れられそうな箱で届けられる。その度に潰し、勝手裏に置きにいく。
じわじわと厚みを増し、そろそろ出さないと、面倒なことになるなと頭の隅に引っかかるようになったのはもう、半月ほど前だった。しかし、朝7時の時点ですでに暑いので、先に先にと伸ばしてきた。
先週、いくらなんでもと思い、たまりにたまり、干からびゴワゴワになってきた残骸をガムテープでぐるりとくっつけ、一つにまとめた。
だらっと広がっていたのが、ピチッとくっつきコンパクトになった。
見た目、すっきりした勝手裏に満足し、あとは出すだけと気が少し楽になる。
あとはこれを運ぶだけ。
その翌火曜は、朝から大雨だった。
だって、雨じゃ無理だもんねぇ。
また延期した。
その間、息子が買った本が一回、CDがもう一回、アマゾンさんから届く。
息子は容赦なく、潰したダンボールを勝手裏に積み上げる。まとめたものにバラ二つ。
「火曜に持って行ってよ」
「いいけど、俺、来週から火曜、バイトだよ」
そして、迎えた今朝なのだった。
もうすでに雨を吸ってびしょびしょに重いダンボール。
また来週か・・・・。
ところが、10時ごろ、一瞬の晴れ間。
台風の影響か、8時にはやって来るはずの収集車が今日はまだ来ていない。
どうする。持っていくか。びしょ濡れで重くなっているであろう、あの、ダンボールの束・・・。
勝手口の扉を開け、濡れたサンダルをタオルで拭いて履き、出てみた。
持ち上げる。お、意外とこのまま持っていけそうだ。
ズルズルと持ち上げては引きずり、持ち上げては引きずり、なんとか移動させた。
出せた・・・。まさか、今日、出せるとは。
この晴れ晴れとした気持ち。自分がとてもきちんとした人のように思える。
片付いたのだ。ついに。
ダンボールをゴミ集積所に出せただけでこんなにウキウキするとはなぁ。
学生の時は、期末試験が終わった時、夏休みの宿題が終わった時。
社会人になったら、金曜の夕方、仕事が終わった時。
新しい服を買った時。
好きな人と話した時。
結婚してからは息子を授かった時。
それが今。溜まっていたダンボールをちゃんと出せたことが、私を明るくしてくれる。
いずれにしても私のウキウキはいつだって実に、些細なことなのだ。