ベルばらとユーミン
アマゾンの読み放題の中に「ベルサイユのバラ」があったので「タダなら」とダウンロードした。
ベルばら。私が小学生の時、大流行し、テレビアニメにも、宝塚の舞台にも筆箱にもノートにもアントワネットとオスカルが溢れていた。
私はベルばらを読んだことがない。
ベルばらも、はいからさんも、ガラスの仮面も。
漫画を読むことを禁止され、バカにされる家庭環境だったので、読んではいけないものと諦めていた。
くだらない、内容がない、漫画を読みたいなんて情けないなんていうから、「買って」とは言えなかった。内緒で借りてきてベッドの中で読んでいると見つかって取り上げられた。禁断の書物だったのだ。
第一巻を読み始めると、びっくりした。これは文学に近いじゃないか。薄っぺらなただの少女漫画だと言うのを信じ込んでいたので驚いた。確かに表現が直接的で笑いの要素も入れてはいるが、人物それぞれの心のひだまで丁寧に描かれている。どの登場人物も魅力的だ。当時、クラスの女子が「私はアンドレ」「私はフェルゼン様」と言っていた意味が今頃わかった。
「これのことだったか・・」
40年経っての共感。
大人になって退院してから覚えたことのうちの一つに漫画かある。コミックというのか。
入院するときの暇つぶしに何かないかとツタヤを探して【映像化決定!】と特別コーナーを作っていた「三月のライオン」に出会う。
文章を読むだけの体力もないときの暇つぶしのはずが、どっぷりハマり、病院に続きの巻を持ってきてくれと夫に頼んだ。
母の冷ややかな視線もなんのその、夢中になって読んだ。
あぁ、子供の時、どうして隠れてでも読まなかったんだろう。
ダメと言われて、ハイそうですかと手をつけてこなかった世界が私にはたくさんある。
今、ユーミンが新しいベストアルバムを出したのであちこちのラジオやテレビに出ている。
この前、夕方偶然つけたラジオ番組でユーミンの恋の歌特集をしていた。リスナーがそれぞれ自分の思い入れのある曲をリクエストし、自分のその曲にまつわるエピソードを添えて送る。
この曲の時は、こんなだった。この曲の頃の私はこんなだった。ユーミンは私たちの青春の記憶にいつも寄り添っていますね。投稿してくる人たち、DJをやってる八木アナウンサーみんなが共感しているが、私にはどれもこれも新鮮だった。
私が知っているのはルージュの伝言、卒業写真、守ってあげたい、飛行機雲、中央フリーウェイくらい。あとは聞いたことあるけど・・程度の知識だった。
二時間にわたりずっとユーミンだけ聞いていると、その世界観の切なさと透明感にすっかり魅了されていた。
・・・ユーミンってすごい。
多分、サザンとか、ゆずとか、中島みゆきとか、ちゃんとその世界に向き合えばきっと同じようにその奥深い魅力に触れるのだろう。
この世は魅力に溢れてるじゃないか!
ジャズとクラシックを聴いているのが立派な人みたいなの、変。
サザエさんは見てよくて、「リボン」「なかよし」「マーガレット」「ジャンプ」は情けないなんて!
ミーハーをバカ扱いするのはもっと変。
勿体無いことしてきたなぁ。
買っちゃお。ユーミンのベスト。
一曲一曲に当時どんな思いでその曲を作ったか、彼女の自筆で描かれたライナーノートがついているらしい。それを読んでみたい。読みながら、一つ一つ、聴きながら浸ってうっとりしたい。乙女のように。