憧れ見つけた
散歩をしていたら、目の前を並んで歩いていた。
白髪混じりのショートカットに紺のスカートに紺のレッグウォーマーが若々しい。
何にも持たず、隣の男性がスーパーの袋を持っている。
黄色いバナナと一リットルサイズの牛乳パックが透けて見えた。
おばあさんもおじいさんも、何にも話さない。
パパと歩く娘のように手をぶらぶらさせて、歌うように歩く。
紳士はそれに速さを合わせてゆっくりゆっくり歩く。
二人は何も話さない。
あんなふうになりたい。
夫は定年まであと何年だろう。
二人は
家に帰ると一緒にお茶を飲むのだろうか。
それとも、はい、ご苦労さん、とそれぞれ自分の時間を楽しむのだろうか。
会話がないのに、二人で一つに見えた。