ふて太郎との友情
やっぱり。野良のふて太郎。
ふてくされた態度が愛らしく、決して懐こうとしない。この家をが建つ前はここが猫の集会所だったようで、越してきた当初は毎朝彼のフンがまだ、芝の揃っていない庭にポンっポンっと置いてあった。
「ここは俺のものだ」
と言わんばかりに。そして、昼間は庭の塀の上からじーっとこちらを恨めしそうに睨む。
「後から来て申し訳ないけどさぁ。ウンチとオシッコはやめてよ。うちはご飯はあげられないの。ごめん。でもあとは昼寝だろうとなんだろうと好きにいてくれていいから」
猫は言葉がわかる。私は根気よく毎日毎日訴えた。気がつくと、落し物はなくなった。隣に住む母の方には相変わらず、ぽとぽと落ちていた。「しっしっ!」と言って水をかけるからだ。ふて太郎を舐めるとこういうことになるのだ。
彼がやってくるのは天気のいい風のない穏やかな午後。
この時間帯、ここが日向ぼっこにもってこいの場所だとインプットされているようだ。
きっと雨の日はここ。お腹が空いたらここというポイントがあるのだろう。
半径何キロくらいだろう。
この前、片道2キロの遊歩道を歩いた先の住宅街をウロウロしていたら、彼がよその家の玄関の階段で昼寝をしていた。
思わず会釈をしたが、全く知らん顔だった。
なんでだろう。やっぱり餌をあげないと足が遠のくのかなぁと寂しかった。
だからこうしてうちに来ると私は嬉しくなる。
「どうぞゆっくりしてらしてね」
できるだけそっとそっとしてくつろいでいってもらうのだ。