それは急にやってきた
「お姉さんが一人っ子じゃぁかわいそうと思ってあなたを産んだのよ。それなのにそんなに身体が弱くて。あなたみたいの産んで私の人生なんだったんだろうって思うのよ」
だから私が死んでもちゃんとあなたが長生きしてくれないとお姉さんがかわいそうでしょ。
ひ、ひどい。私の存在、全否定・・・。といじけて虚ろな目になっていたのがつい、半年ほど前。
今の私はこう翻訳をする。
可愛い末娘よ、病弱でいつもいつもハラハラさせられて、私が死んじゃってからあなたは大丈夫なのかしら。心配だわ。長生きしてね。お姉さんと仲良くしてね。
では、あなたみたいの産んじゃっての下りはどう訳すのでしょう。
あなたを産む前思っていたのと随分違う子育てになって、今振り返ると私の人生ってなんだったのかしらって思うのよ・・という心のうちを打ち明けてしまうほど、私に心を許している。建前主義で意地っ張り見栄っ張りのあの母が。ポロっと人生の弱音を。
随分の意訳だと思いますか?でもこれが真実だと私は確信します。
最近、頭の中のOSを初期化して、再インストールしたのです。
過去のデータで役に立たないものは全部完全削除しました。
それと同時に母の言葉の翻訳ソフトも最新のものに入れ替えました。
愛に満ちた翻訳をしてくれるソフトです。
考えてみれば、人の頭の中のソフトを私がいじって、私のことをこう理解しろ、こう評価しろというのは無理なことです。できるわけがない。
それより自分の頭の方が自分の好きなように都合の良いようにカスタマイズできることにやっと気が付きました。
実は、私は愛に満ちた中で暮らしている幸せ者だった。
負け惜しみとか、苦肉の策だと思う人もいるかもしれないなぁ。
私自身、急にこんな満ちたりた心境になってびっくりしている。
なんのきっかけもなかった。急にそれはやってきた。
特別大好きでもない。でも特別気になることもない。
言いたいことを言って、それでボロクソに言われても、大丈夫なのかどうか、まだまだビビっている末娘。それでも。
私は私をちゃんと受け止めていけそう。