若さ
昨日は母がぎっくり腰になり、買い物やら洗濯物の取り込みやらと、実家とこっちを行ったり来たりの一日だった。
そんな腰なのに、期日前投票に行こうというのを、懸命に、なだめる。
息子のことで、気持ちがモヤモヤしがちだったので、たとえめんどくさい母でも、こういうときは、気持ちが外れて助かる。母の話し相手をしながらそんなことを考えていた。
息子の件に関してはどうしてやることもできないし、よく考えてみれば、とにかく生きてこの家に帰ってくるのだ。しばらくため息や不機嫌に付き合わなくてはならないが、命の心配をするのに比べたら、ありがたいものだと腹を括った。
夕方帰ってきた息子は、ニコリともしないで部屋にこもっている。私も声をかけず、自分の部屋でテレビをみていた。
「母さん、ちょっといい」
手にはたくさんの資料がある。え、大学、辞めるの。どこかの予備校か専門学校の資料だろうか。それならそれでいい。こうして生きていてくれるんだもの。
「なに」
「今日、教務課でいろいろ聞いてきたんだけどさ」
話はこうだった。
転部ならぬ、転科試験を受ける。今の学部の中で選考している学科から違う学科へ移るための試験が秋に予告されるらしい。毎年、募集人員も学科ごとに異なり、場合によってはその募集をかけない年も学科によってはあるらしい。
試験を受けても、募集枠に対して応募人数が少なくとも、該当者なしということもあるらしい。基準は成績と試験と教授との面接。無事に学科が移れたとしても、一学年での必修をもう一度取り直さないといけないので、当然、履修科目も増えるから忙しくなる。
「これ受けてみようかと思うんだけど」
すごいなぁ。と思った。妥協しないんだ、なんとなく違うと思ったら、そのまま、こんなもんなのかなぁ・・・でもいいのに。
「いいんじゃない。少なくとも、納得いくよね」
応援すると言われると、彼の中で急に現実味を帯びてきたのか、明らかに声のトーンも顔つきも晴れやかになった。
「難しいかもしれないんだけど、今の興味あることに近いのはこっちなんだよね」
その試験対策のために、当面は今の学科の成績をよくして、遅刻、欠席は極力しないようにすると、妙な形で学校に行くモチベーションが上がっている。
まさかの展開。それでも前向きな展開を嬉しく思う。
どう転んでもいい。できることなら望むように展開してほしい。
やっぱり祈るしかないが、なぜだろう。嬉しい。