大量のトマトソース
我ながら馬鹿じゃないのとおかしくなってくる。
昨日。午後から新聞を作ろうと思って、午前中のうちにラタトュイユを作る。
息子がどうも、お通じが少なくなってお腹が張っているようなので、野菜をたくさん食べさせるにはこれがいい。
これを作っておけば、いろいろアレンジも聞くし、いざとなれば、野菜はこれで、あとはなにか肉でも魚でも焼けばいいので安心。
とにかく冷蔵庫にある野菜を片っ端から切る。キャベツ。人参、玉ねぎ、なす、ピーマン。そしてトマト。オリーブオイルを多めに入れて炒めて少なめの水で煮込む。塩だけで味をつける。あれこれやってみたけれど、凝っていろんな調味料を入れるより、塩とオリーブオイルがいちばんいいみたい。
と、わかっていたのに。
火が通って野菜が柔らかくなったところで塩を入れる。味見をする。美味しい。
でも、ちょっと塩が足りないかな。足す。うん。いい感じ。
・・・ちょっとしょっぱすぎるかな。
ここでやめておけばよかった。
この微妙なズレというか違和感を直したくて、ほんの気持ち、ケチャップを入れた。
悲劇のスパイラルはここから始まる。
ケチャップは意外と少量でも主張が強く、今度は甘ったるい。
それからホールトマト缶を二つ入れ、ストックしてあったレトルトのスパゲティにかけるナスとトマトのソースを入れ、トマトペーストを入れ、塩を入れたり砂糖を入れたり酒を入れたり。
まるで子供の髪を切っている時のよう。右を切れば左が長い。左を切れば右が長い。ちょきちょき繰り返すうちに・・・。
それと同じで、結局味が定まって、よし。となった時には大量のラタトゥイユではなく、大量のトマトソースと、その冷凍ストック3回分が出来上がっていた。
マチ付きのジップロックに三つのトマトソース。鍋の中には今日の分。
本当は今日は野菜を摂るということがテーマで、献立はラタトュイユと胸肉のフライのつもりだった。が。予定変更。妙なスイッチが入ってしまって、玉ねぎを刻んでひき肉とレンジでチンして、鍋に入れてミートソースに仕上げた。
ぐったり。
何か、ものすごく頭を使ったような気がする。
気がつくと午後1時半。
昼ごはんを作る気力もなく、自分一人の昼食は散らかった台所の中で焼かないパンにハムときゅうりとキャベツとマヨネーズを挟んだものにコーヒーだった。
夜。恐ろしく時間と手間のかかったミートソースを食べる息子。
「なんか、今日の、すっげえ上手い」
それはよかったね。何食わぬ顔でいつもの通りに返事をした。
二度、同じ味は作れない。