お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

二十歳前後の頃を思い出す

朝起きたら息子がまたリビングで寝ていた。

一瞬、もう・・と思う。だから昨日の夜、9時半ごろ、風呂に入るよう言ったのだ。

「明日の朝、また7時に家を出るんでしょ」

この時点で彼の目は爛爛としていても、これまでのパターンから行くと、やがて眠くなり、ちょっとのつもりで寝転び、ストンと眠りに落ちて朝になる。もう何度となくこれをやっているんだからいい加減、自分でもその傾向と対策について考えてみればいいものを、「今日は大丈夫」と毎回の言う。

「10時半になったら入る」

その10時半が一番怪しい時間帯じゃないか。

私こそ翌朝起きるために「ちゃんと入るんだよ」と寝に行った。

そしてこれである。

ラジオをつける。毎朝の声が流れる。入院して手術したこのパーソナリティもだいぶ声も話す内容も力強くなってきたな。もう、大丈夫。

余計なお世話であっちこっちの心配を勝手にする。

そこにリスナーからのリクエストで米米CLUB浪漫飛行が流れた。中年を中心とする早朝のこの番組は、朝の社交場のようだ。メールで番組パーソナリティを通じ、全リスナーに語りかけるような空気感がある。

「大学時代一番よく聴いてた曲です」投稿した人のメッセージが読まれ曲が流れた。

途端に私もあの頃に飛ぶ。私も21か20か、それくらいだった。毎日が不安で苦しくて辛かった。自分の立ち位置もわからない。これでいいのかもわからない。希望も展望もなく、自信のかけらもなかった。不安に直面するのを避け、毎日学校の行き帰りと課題をこなすことで、やり過ごしていた。

今の息子の年齢の頃じゃないか。

床に転がっている息子を見る。テーブルには大学のノートと筆箱が置いてある。転科試験を受ける資格を得るため、今回の学期末テストではある程度の成績を残さないとならない。

彼なりに何かに立ち向かっているのか。

家ではヘラヘラしているから、私もそんなにナイーブに捉えていないが、よく考えれば今の学科からあえてよそに移ろうとするアクションを起こすのは相当のエネルギーを要することだ。

息子の目が覚めた。罰が悪そうに「やっちまった」と起き上がる。

「早くシャワー浴びといでよ」

上機嫌ではないが尖ってもいない声でそう言う。

やっぱり、見守るしかできない。頑張って生きろ。息子。