お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

私は女の子あいつは男の子

テーブルクロスをひいた。何年ぶりだろう。息子が生まれる前まで私のまだまだ娘気分の主婦で、取っ替え引っ替え何かかけていた。フリルのもの、シンプルな水を弾く実用的なもの。

乳幼児が伝い歩きを始めると危なっかしくて、引っ込めた。幼稚園にあがると毎日のように園の帰りにクラスのお友達が遊びに来て、おやつを食べたりお絵描きをしたりする場所となった。小学生高学年になり、そろそろこぼしたり引っ張ったりしなくなって来たからと、またテーブルを飾った。すると、そこで宿題をするのに、クロスが邪魔になると文句が出た。「そりゃそうだ」とまた、引っ込めた。

中学、高校、勉強は居間でしていたのでそれ以来ずっと、我が家の木製のテーブルはいつも木肌むき出しで、ご飯の時は、そこにお盆に乗せたそれぞれの食事か、ランチョンマットが乗っかった。

この頃は、どちらかといえば傷のたくさんついたこの焦げ茶色の木目の見えるまんまの方が好きだと思っている。

今日、食器棚の下の棚を整理していると、かつてのテーブルクロスがたたまれ収まっているのがあった。

去年の今頃は大学受験でそれどころじゃなかったけど、そうだ。もう、関係ないんだ。

子育てのピークが過ぎたんだなぁ。

息子は今でも課題の締め切り間際になるとパソコン持参で居間にやってくる。でも、そんなのはもういいだろう。

学校のママたちがお茶をしにきたり、学校の先生や夫の友人とか、当分、これから気を張るお客様が来るということはそうそうない。よそゆきにしていたのを普段使いにおろして使っちゃおう。

薄いピンクと紫の中間のようなクロスを広げた。中央上に小さな若草色のマットを乗せた。そうだそうだ、確かここに・・・食器棚の上扉を開ける。あったあった。白いキャンディポット。母がいらないとくれたが、私も使いようがなく、しまっておいた。これも使わないでしまっているくらいなら、惜しがらずに置いちゃえ。

クロスがかかってお澄まししているテーブルの真ん中にキャンディポットを置き、その中にのど飴を入れた。

いいじゃーん。

夕飯時、息子がおもむろに言う。

「なんでテーブルクロス、ひいたの?」

「見つけたらなんとなく。気分変わるかなと思って。」

「フゥン・・・・で、この白い容器は、なんであるの?」

「・・・オシャレだから。」

「これ、何?」

「・・・・・のど飴」

「ふーん。ま、いいけどね」

ふん。風情のない奴。