お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

蒼き悩み

昨日の息子の話は、なんだ、そんなことかと言ってしまえばそれまでのことだが、深刻だなといえば深刻というものだった。

好きで選んで入った学部、だったのに、そこで授業をしているうちに、次第に「違う」と思うようになってきて、「しまった」と思って絶望的な気持ちになっている・・というもの。

よくある話といえば、それまで。でも、真面目な息子にとっては苦痛な毎日なのだろう。好きで選んだ学部だけあって、大学に入ってからの息子は人生で一番勉強をしている。成績もいい。なのに、楽しくないなんて。

「なんか、いい加減な奴らの方が人生楽しんでいるように見える」

授業に出てこないで、単位もそこそこの学生が、学食や教室ではしゃいでいるのを見ると、やるせない気持ちになるらしい。

わかるよ。

私もそうだった。バブル真っ只中の頃、教室で彼氏を作ることや服を買うこと、お化粧のことが話題の中心だった。その頃から、家でのんびりしているのが好きだった私は、その激しさについていけなかった。

みんなが、恋のことだけで悩んでいるのが不思議でならなかった。

OLになってもそうだった。そういう意味では心の通う友人はいなかった。

「もう俺、なんのために生まれてきたんだろうって思う」

 

昨日は「それは辛いね」「それはしんどいね」としか言えなかった。

バイトと学校以外の世界をもう一つ、持ってみたら?

我ながら安直な意見だと思いながら、ついそう言うと

「それは根本的解決になっていない」。

ごもっともです。

「大学辞めたところで、現実的な考えじゃないし」

あまりこのことにエネルギーをつぎ込んではいけない気もした。これこそ、たとえ母であっても、共有して助けてやることのできない、最後の扉だと思う。

息子の代わりにトイレにいっておしっこをしてやることができないように。

息子の代わりに私がご飯を食べたり、睡眠をとったりできないように。

「そんなの、考えたって仕方ないでしょ」

とは、絶対に言いたくない。

本人は本当に辛いのだ。

青春の痛みなのだ。

「そのまんまでいいんだよ。この世に生まれてきてくれたこと、それだけでもう、完全なんだよ。焦ることないよ。辛いのも大丈夫。安心して悩んでいいよ」

「そんなのわからない」

だよね。いきなりそんな、極論言われても腹立たしいだけだよね。

しばらくは、今の彼をそのまま、見つめるしかない。