優雅な素っ裸
友人にもらったロクシタンのバラの石鹸とローションを使っている。
これまではこういうものをいただくと、日々の生活に追われる中で雑に使ってしまいたくないと、大切に大切にとっておいた。しかし。この前急に気がついた。日々の生活に追われなくなる時って、いつ?おそらくその頃には私が後生大事に保管していたローションは怪しい臭いを放っている。
今を楽しまなくては。
好きなものから食べよう。好きな本から読もう。私は自分のお楽しみをとっておく癖がある。ワンちゃんの埋める骨のように。
恐る恐る、使ってみると、これまで知らなかった匂いと感触の石鹸。化学の香りではなく自然の花に包まれる。
しゃぁ〜せ。
自分んだけのバスタイムをママも。心も体も解ける時間を・・・。なんて雑誌やCMで見ると内心、「んな。そんなもので」と取り合わず、いつかそういう気持ちになれたらそういう生活をするんだと、硬派ぶっていたが、知らなかった。こういうことか。
ママさんたちがエステやネイルに行くのもこういうことなのかもしれない。
大事な石鹸に、洗って流れた髪がくっついた。指ですっと撫でても取れない。
上等な石鹸は柔らかく、ちょっと触っただけで、すぐぐにゃっと凹む。
扱いになれない私は、爪を立てて髪を摘もうとするがうまくいかず、石鹸だけがへこんでいく。素っ裸で一人、慌てる。
バラの匂いに囲まれて。