私がお母さん
朝。いつもは4時半のラジオのアラームで目が覚めて、しばらくぼんやりしてから起き上がる。今日は目が覚めたのが5時だった。そして、起きれず。眠い。だるい。しんどい。少し寝てから起きよう。次、7時半。あら、よほど疲れが溜まってたのかなぁ。睡眠薬なしでこんなに眠れるようになって、私も元気になってきたんだわ。・・・だるいなぁ。起きたくないなぁ。こんなふうに布団の中で葛藤するのも久しぶり。眠りが浅くて、夜が明けるのをまだかまだかと、深夜2時、3時と小刻みに寝ては目を覚まし、時計を見ては途方にくれていたのがつい最近だというのに。体が普通になってきたんだ。
・・・などど思いながらベッドに寝ていると、隣の部屋で、ガタッバタッと音がし、ドタドタドタドタっと階段を降りていく音がし、しばらくしてドドドドドッとかけ上げってきて、バタンッと私の部屋のドアが開いた。
「あ、いた。どした、具合悪いのか。」
いつも散歩に行っている時間に私が寝てるのは、相当具合が悪いと息子は思ったらしい。
「いや、ただ、眠かっただけ。ご飯にしようか」
なぜかいつもより食欲もあり、息子の残したウィンナー二本も平らげる。なんとなく甘いものが食べたくて、珍しく食後にチョコレートとビスケットを食べた。
ぼんやりした頭のまま、頬杖をついてテレビを観ていた。ん?
こめかみに当てた左手がどくどくどくどくいっている。やけに早いな。
「息子。ちょっと体温計とって」
7度9分だった。私は本当に自分の不調がわからない。朝、だるかったのも、このいつもよりやたらと食べたくなる食欲も、そういえば、夜中に暑くてTシャツ着替えたのも、熱があったからだったのかぁ。
「熱あったよ」
「ほらな。母ちゃんが朝、散歩に行ってないで、寝てる段階で俺は怪しいと思ってたんだ」
それだけ。それだけなんす。大人になって熱出したところで。
かあちゃん、俺が皿洗うよ。なんてあるはずもなく、熱出た、ほらな。
不思議と最近、それだけのこととと、私も思う。
「今日、カレーと鶏肉焼いたのでいい?」
「いいよ」
秋の朝。熱っぽい頭に曇り空。平和。
私が私に今日は言う。今日はゆっくり好きなことだけして過ごしなさい。