お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

100歳のおばあちゃんと48の私の冒険 1

昨日、老人ホームにいる100歳の祖母のところに行った。

四階のエレベーターホールからみんなで食事をするリビングに 入っていくと、いつものように、机に突っ伏して寝ていた。両隣におじいさんが二人。あとはそれぞれ自分の部屋にいるらしくいつもよりシンとしている。ちょうど昼ごはんが終わった頃のようだった。

驚かないようにそっと、肩に手をやる。隣のおじいさんと、いつもびっくりするからね、大きな声出すからねと、笑いながら、トントントン。トントン。

眠りが深かったようで、顔を上げて、しばらく前をじっと見つめている。肩を叩かれて目が覚めたとは思っていないようだ。もう一度、型に手を当てて「こんにちわ」という。

「あらぁ驚いた!」

いつものように目を大きく開いて、胸に両手を組んで、体を大きくのけぞらせた。もしかして、これは祖母のやる歓迎のポーズなのかもしれない。

立ち上がり、私を促し自分の部屋に行こうとする。

「ちょっと行ってくるわね。孫!」

隣のおじさんに声をかけ、おじいさんと私が会釈をし、歩き出す。

手が冷たい。足の運びが遅く、よろよろしている。寝起きだからだろうか。

いつもと何か、違う。パンっとしていないのだ。

頭を打ったのを聞いた時、母は、そうやって少しずつダメになっていくんだと言った。今年の秋に予定している姉とのニューヨーク旅行の最中に死んじゃったら、申し訳ないけど、帰って来てからお線香あげにいかせてもらう。その言葉が頭をよぎる。

ほんの数メートルの距離を珍しく、私に捕まった。

そうだよなぁ。人はいつかは、いつかは、死んでいくんだもの。

うちのおばあちゃんは死なないって思ってた。