お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

決める

息子が奥歯の治療をしている。あれだけ歯磨きしろと言っていたのに虫歯ができていた。小学校の時に学校の検診で来た先生に「綺麗に磨けているねぇ。君の歯は強いよ」と言われ、虫歯ができにくいことが自慢だった息子にとって衝撃の事実だったようだ。

だって、子供の頃は親が歯磨きチェックしたり、夜更かしして歯を磨かないまま、ついうっかり眠ってしまうなんてこともないから。

いつかはこうなるであろうと、母は思っていたぞよ。

そこで、いよいよ、今日、詰め物をするのだけれど、銀歯にするかセラミックにするか、金歯にするか、自分で決めてこいと言われた。それぞれの長所短所を書いた紙をもらって帰って来た息子は、説明を聞いた時に、銀歯だと金属アレルギーで、ひどい人は肌の皮膚まで炎症を起こすと写真を見せられ青ざめていた。

特徴は審美的差が一番大きく、口を開けたときに銀歯だの金歯だのは目立つ。セラミックなら白くて美しい。

銀歯は耐久性はいいが、虫歯の再発が起こりやすい。どうしても数年もすると、劣化して、歯との間にできた隙間から、被せ物の下に虫歯ができる症例が多い。そして、息子が恐れているように、金属アレルギーの人には向かない。保険適用なので3500円からある。

セラミックは、美しく、金属アレルギーの問題はないが、耐久性には弱い。保険適用外なので、3万5000円くらいから5万円くらいまで。とにかく高い。

それでも銀という異物よりは体に優しいようだ。

金歯は。。。これは息子が最初から拒んだので、うちでは論外としたけれど、体にはこれが一番優しいのではなかろうかと思った。ただ口を開けた時に、奥歯に金歯がキラリというのを18歳の青年が拒否するのもわからなくもない。

セラミックゥ〜〜〜。セラミックかなぁ〜〜。痛い。痛すぎる。3万円は痛い。

この数日、この問題がずっと頭の隅にあった。話を聞かされた時は即座に

「銀でしょう。ありえない。3万円なんて。今、そんなお金、ないよ」

と言ったものの。

息子のためというより、自分が後々、後悔しないようにしておきたい。ここでちょっとケチったばかりに、結果的に息子の体に害になることをしたとしたら、私はきっと自分の目先の判断を呪うと思う。

いよいよ、締め切りの迫った今日、夕方五時半の診療予約のギリギリまで、昼食後、あっちのサイト、こっちのサイトといろんな人の意見と知識を求めて調べた。昨日、念のため、5万円を引き出しておいた。決断によってはここは潔くセラミックかと半ば覚悟はついている。

前歯は文句なくセラミックだけど、奥歯に関しては意見が色々別れた。

結論から言うと、うちは銀。

ケチったわけではないですよ。ホントに。

決めては二つ。今はアレルギー反応の少ない金属がどんどん改良されたものが出ていて、そうそうひどいことにはまず、ならないとの情報。それと、一番の決定的な決めてはセラミックの耐久性の弱さ。ある男の先生が、奥歯にかかる圧で、かけたり割れたりすることが多いので、僕はよほど見た目を気にする人でなければ銀を奨めると書いていた。息子はこの前の診察で先生に「寝ている間に歯ぎしりしてるみたいだよ。歯の形状がそうなってる」と言われた。歯ぎしりは私は気がついていなかったけれど、知らないうちにギシギシやっていたのかもしれない。

セラミックのデメリットに強く歯を食いしばったり、歯ぎしりをすると意外とあっさり破損するとあったのを思い出す。冗談じゃない。3万もかけて、すぐ破損なんて。

息子を呼んで、歯ぎしりの話をして、そのページを見せた。

「迷わず、銀ってことで、いいかね」

「ちゃんと調べてくれたんだ。」

私のパソコンに首を近づけて、じっくり読む。本人も納得して銀歯にすると決めた。

はぁ・・・。よかった・・。

何がよかったって、同じ決断にしても、迷いが消えたこと。

調べないで、銀って押し通して始める治療だったら、私も息子もモヤモヤが残ったままだったと思う。私に関しては、ケチった自分の後ろめたさに苛まれ続けることだろう。

歯ぎしりがあるからセラミックはダメ〜。決定。

今の時代の子育てで、インターネットは本当に頼りになる。薄っペたい画面から日本中、世界中の人が意見や真実を教えてくれる。

ありがたい。

それにしても息子よ。夜中に歯ぎしりなんて、何を悩んでいるのじゃ。青年。