お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

凸凹

昨日、いい気分で散歩に出て、買い物をして帰る途中に携帯が鳴った。

「あなた、息子ちゃん、今日遅いの?お姉さんが珍しくピザを食べたいっていうんだけど。早く帰ってくるわよねぇ」

つまり、普段は「私、ピザ、嫌いなのよね」と言っている姉がピザ食べたいと言っているから「よっぽど食べたいのよ」ということで、息子も交えて食べようと思いついたということ。ちなみにここで重要なのは、母は息子の帰宅時間は気にしているが、私にそれでどうかとは一切、聞いていないということ。

母は姉に甘い。最近、そう思う。

先日の父の命日にも「お父さんの大事な日だから、あなた、体調整えて夜はなにがあっても空けときなさいよ。命日なんだからみんな揃わないとお父さんに申し訳ないわよ」と言っていたのに、実際当日、姉はいなかった。

「会社の飲み会なんですって。せっかく誘ってくれる人がいるんだから行った方がいいのよ。」

私には許さないことを姉には許す。これは口にすると自分が拗ねている子供になるので言ったことはないが、事実として、そういうことが多い。

書きながら、自分でも情けない。やっぱり拗ねているのか。

「わかった。私は自分の食べ物自分で用意するから、気にしないで。息子は5時ごろには戻ると思うから大丈夫だと思うよ」

食事で動物性の脂肪は良くないとされているので私はピザは食べられない。それはもう慣れているので構わない。こういう場合は、マイ御前に自分の好きなものを適当に並べて一緒に食べることにしている。

私の家で食べることになり、6時半に母がやってきた。

「お姉さん、まだ帰ってこないのよ、もうちょっと待って」。

ネチネチ言うようで女がすたるが、実はこの日、私は母に祖母のところに一緒に行くように言われていたが昨夜急にキャンセルになった。

「お姉さんお休みで家にいるんだって。あの人、風邪ひいているから家でおとなしくさせておきたいし」

自分も微熱が続いていたから中止は助かったと即、了解したが、よく考えると、娘が風邪でと言う理由を使うには姉は大きすぎる。51だ。

その風邪のはずの娘が実は美術館に行ったことは食事中にバレた。

夫のいない娘の家での母は、はしゃいでいた。はしゃいであれこれ、指示を出し、一人一人の座る場所を決める。おばあちゃんがお金はいくらでも出してあげるから、今夜は息子ちゃん、好きなもの好きなだけ頼んでいいって言ってもらって、得したわね。と威張って采配を振るう。

「あ、それからね、おばあちゃんのとこ、私、火曜から青森に旅行なのよ。回数券、あげるから、あなた、代表して行ってきてくれると助かるんだけど」

なんていうか、もう。

最近、この人が可愛くなってきた。

この人も凸凹しながら一生懸命この年まで私達を育て、夫と姑の世話を焼き、生きてきたのだ。

 

私も今夜は頑張らない。気をつかうもんか。テレビをつけて、みんなの会話を拾って相槌を打つなんてこともしなかった。私が引けば母も姉もグッと出る。そのグッと出てきたのもそのまま放置する。いつもと違う微妙な空気が一瞬生まれて消える。それでも私はじっとする。

時間が経ち、二人は帰っていった。息子に皿洗いを手伝うようにと指示をして。

やりたい放題に立ち向かわず、普通に過ごすと消耗は少ない。あるがままとはこういうことか。

姉も凸凹。母も凸凹。私も凸凹。

家族は凸凹。