お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

ピアノの発表会

ピアノを弾き終え、舞台から降りて、廊下に出ると、お父さんとお母さんがいた。長い廊下の向こうの端にお父さんが前でお母さんがその後ろに立っていた。

お父さんは顔じゅうで笑って、私が出てくると両手を大きくパッと広げた。

私は緊張が解けたのと、その開いた腕が嬉しくて、走り出す。

走ってお父さんの胸に飛び込んだ。

「よーしよしよし」

ぎゅうううっと包み込んでから頭をグシャグシャにこねくり回す。

お父さん。お父さん、お父さん。

今でも思い出す。