お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

クローバーの首飾り

母の日に。

クローバーでは首飾りを作ってお母さんにあげた。

「わぁありがとう」

母は喜んで、一日中、首にかけていてくれた。

私は嬉しかったし、少し、得意になった。

お母さんを喜ばせた。私が喜ばせた。幸せな気分にした。

次の日、母の首が真っ赤に腫れた。

クローバーにかぶれたらしい。

「あなたにもらった首飾り、あれで首が腫れたわ」

私は申し訳ない気持ちと、自分にがっかりするのと、何より悲しかった。

うまくなかった、プレゼント。失敗だったんだ。

それからしばらく、母は買い物で近所の奥さんに会うと必ず

「あら、首、どうなさったの?」

と聞かれた。

そのたんびに

「トンが母の日にって、クローバーで首飾りを持ってきて。喜んで見せなきゃわるいじゃない。一日首にかけてたら、こうなっちゃって」

と説明した。すると相手の人は決まって

「あらぁ。お気の毒」

というのだった。

とんちゃんは、もうやめてくれぇと、そのたんびに悲しくなるのだった。