お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

ぼつ

新聞作りは思いのほか楽しく、始めるとぐっと集中した。そうだ、私、こういうの好きだったんだ。

読んでもらう相手が夫限定というのが自由にさせる。家庭内の小さなことでも、離れていれば知りたいだろうと思うから余計言葉が溢れてくる。

一番夫がくらいつくのは息子のことだろうと、彼のアルバイトが始まったことに関することをてんこ盛りにした。

早起きのこと、バイト先で褒められたらしいこと。

ワードを使うのをやめて、Macの中に入っていたPagesというソフトを使う。こっちの方が洒落たテンプレートが揃っている。iCloudに対応しているので、iPadでも、MacBook Airでも同じものを編集できる。わざわざ、あっちこっちの機械で途中まで作って保存したものを開いては

「おお。本当にこっちでも開ける」

とひとり、地味に感動して喜んだ。

試行錯誤しながら、写真を入れてみたり、小見出しをつけてみたり。新しいおもちゃを手に入れた子供のように夢中になって遊んだ。

昨日の夜、A4二枚のものが出来上がった。

軽く、気負わずお試し程度に作るつもりが、目の奥が痛くなり始める寸前まで力を注いでしまった。

夫に送る前に、息子に読んでもらう。彼のことをたくさん書いてあるので、検閲をパスしてからでないと。このことは書くな。この言い回しは嫌だだの、あるかもしれない。

 

撃沈。

「恥ずかしい」

「父さん限定だよ」

「この紙が残ったら、後からどんなとき、どんなふうに出てくるかわからない」

「だって、父さん、ネットでアクセスして見るの、できないもん」

「送るの?」

「じゃ、勝手に私が書いて、帰ってきたとき、読ませるよ」

「恥ずかしい」

「じゃ、捨てる。削除するよ。文書ファイルごと」

「おい〜。それは・・・だって昨日も今日も午後、ずっとやってたんだろ?」

「いいよ、だってその方が心穏やかなんでしょ。母さんが勝手に書いたんだし」

「悲しんでいないか」

「べつに悲しくないよ。また、違うことで書くから」

全て、ボツとなった。

さすがに今日、さあ、次!というガッツはないが、あの面白いおもちゃは、まだまだ遊べるはずだ。

ネタがいけなかったのだ。

何か、息子や家族などと関係のないことで書けばいい。

ところがここで、行き詰まる。

私には、家族以外に書くことがない!そんなバカな。

どこに出かけるでもない、家にいて、テレビとラジオと本と、パソコンと近所のスーパーとコンビニが私の世界。

ムムム。

妄想小説でも書いちゃおうかなぁ・・・。