マダムのお茶会
昨日、七日。母の代理でご近所のお茶会に行ってきた。
お茶会。お茶会。なぜにお茶会。
「さっき、綾小路さん(もちろん仮名です)にお会いして、今度の日曜にお茶会をするからいらしてねって誘われちゃったわ。どうしよう。行かないといけないわよねぇ」
と母が憂鬱そうに言いに来たのが1日。その翌日、「ご近所の親睦を深めるきっかけになればと思い企画いたしました。どうぞご参加下さい。1時から4時までです。」と回覧板を使って筆で日時を書いたメモが回ってきた。
仮名に綾小路さんと思いつくくらい、大きなお屋敷に住む、いかにもマダム。ご主人を亡くされて昨年から息子さん夫婦と、幼稚園前くらいの坊やと二世帯生活になられたお祖母様。同じ二世帯でもうちとは全く文化も雰囲気も違う、お上品な感じの奥様なのである。
私はご近所さんとよく立ち話はするけれど、マダムはそんな輪には加わらない。通りすがりの挨拶程度しかしたことがない。
「ほほほ・・・お暑いでねぇ」と声をかけられたらつい、「えぇ。ごきげんよう」と私もミニマダムになってしまうけれど、私にはその素養はないので、このお茶会は行かなくていいやと思っていた。
ところが。母が何度もなんども、ねぇどうしようと言いに来る。
「行きたくないなら無理しなくていいと思うよ。お付き合いがあるわけでもないし」
「でもぉ。」
どうやら、道端で誘われたときに「ええ。ぜび伺いますわ。オホホホ」と言ってしまったらしいのだ。
人見知りで、あったことのない人とお茶を飲むなんで、一番苦手なくせに、八方美人の母。今頃、ブルーになっているのだ。
「行かないで家に居るなら、じっと電気消して静かにしてないとバレちゃうわよね」
もう・・・。
それでも私は欠席してもいいと思っていた。きっとそういうのが好きな方が集まって楽しく優雅になさる。何もいやいや来られたってあちらも楽しくないだろうし。
そう言っても「でもぉ。大人としてどうなのかしらぁ」
・・・・。じゃ、私が顔だしてくるよ。代表して。
というわけで、私が伺ったのだ。豪邸マダムの御屋敷に。
「あらぁ。行ってくれるのぉ?そうなのよ。私も誘われていかないのは大人としてどうかなと引っかかってたのよぉ」
誘われて行きたくないのに「伺いますぅ」と言うのも、大人として如何なものかと思われます。お母様。以後、注意せよ。