約束
昨日の夜からモヤモヤしている。
二千円。もらうんじゃなかった。魂を売った気分で落ち込んでいる。
手を動かすことなく、彼女の部屋で彼女の脱ぎ散らかした服をたたむ私に、楽しそうにおしゃべりをしてくる。
仕事だと割り切って乗り切れた。いつもなら苛立ち、同時に自分がなんとなく惨めなうら悲しい気持で帰るのだ。
が、今回はそういった恨みがましさは一切、割り切れた。浮かんでは、仕事。浮かんでは仕事。
淡々と、適当に相槌を打ち、黙々と手を動かす。まるで優秀な家政婦のようだった。
姉は相変わらず喜んだ。お金をもらうからにはと気合を入れたので、いつもより綺麗になった部屋を見て「これから毎月、頼もうかな」と上機嫌だった。疲れっきていた私は、もうとにかく解放されたい。帰りたい。はい、2時間経ちましたね。任務完了。ここまで。と引き上げた。
綺麗さっぱり。なんの問題もない。
なのになんでだ。
惨めな気分に自分で自分をさせた。
私の魂が嫌っがっている。
もう、あれはやめてね。
あれするくらいなら、「疲れてるから、今日は嫌だ」って言ってね。次から。
魂。ごめん。
今度からそうするよ。
つい、期待を裏切らない自分を選んじゃったんだ。ごめん。もうやらない。