走らない春
昨夜、息子の相談を聞いているうちに深夜になってしまった。
自信を持った答えをこれだよとは言ってやれなかったけれど、自分ならどうするかを真面目に答えた。でも最後は自分で決めるしかないんだよとも言う。
今日はロールキャベツを作る日。決めていた。昨日、春キャベツを丸ごと、ひき肉を買って用意してある。いつも拝見しているgarigarigarikusonさんのレシピ。中にチーズとお餅を入れるやつ。葉を巻く時に、柔らかい方から芯に向かって巻くといいとあって、それを試してみたい。私はいつも葉が破けて、散々なものになる。肉のキャベツ巻き・・というか、肉団子とその脇を漂うキャベツの煮物と言うかんじなのである。
彼のレシピと写真を見ていると、なんとなく、自分にもできそうに思える。
説明が簡潔なのと、要所要所、抑えてアドバイスがあるのと。シンプルで、料理下手の私はやる気がわくのだ。
で、今日はそこで紹介されたロールキャベツ。デミグラスソースとトマト缶とで煮込む。
これがあるので、ちょっとやそっとの寝不足でも今日はなんだか、張り切っているというわけなのだ。
芯をくり抜き、根元を叩いて転がして剥がす。これもやってみたかった。
ゆっくりゆっくり沸かしたお湯にキャベツを入れて、いつものようにざっとではなく、急がず茹でる。
ザルにあげ、冷ます。玉ねぎをみじん切りにし、ハンバーグだねを作り、巻く。
ブログでは、さささっと作ってできている印象だったのに、不器用な私はやっぱり、葉っぱを巻いたり、ほどいたりを繰り返し、不恰好な巻物を四つ作り上げた時はぐったりしていた。けれど、いつものように、適当にやらず、一つ一つを時間を気にせず、ちゃんとやった。
手早くというのが苦手。家事は時間に迫られることが多い。段取りも要領も悪く、その上不器用な私はいつも、時間に追われてしまう。いつしか、料理も時短とか、これだけという、手抜きのものばかりを食卓にその場しのぎで乗せることが多くなっていた。
一つだけでいいから、念を入れて作ろう。献立とか、副菜とか考えるから、どれもこれも中途半場になる。一つ。あとは、朝の残りの味噌汁と、冷奴とか、茹でてタッパーに入れてあるブロッコリーとトマトとか。そんなんでいいから。できるだけなんとかの素に頼らず、一個だけ。
まるで、子供のドリルだけでいいから集中しようっていうのと同じ。
料理を真面目にちゃんと作ると、なぜか謙虚な気持ちになる。チャチャっと炒めて混ぜてハイっていうのと違って、包丁の音、茹でる匂い、立ち上がる湯気。食べさせていただくと言う気分になる。喜ぶかなと言う気にもなる。食べさせてやりたいなとも。
1日のうちに、あれもこれもやってと気持ちを走らせてきた。落ち度のないように。とにかくこなす。
子供が小さかった時はそういう時だった。
洗濯物を取り込む時に、洗いあがったタオルの匂いをかぎ、ベッドに広げたシャツをのんびり丁寧にたたむ。
ちょっと昼寝。
小学校の校内放送が聞こえる。
ロールキャベツの煮える匂い。
間違いなく幸せだ。
garigarigarikusonさんありがとう。
ちなみに、彼のサイトでは、ちゃんとした献立でお写真が載っています。ぶつ切りの豆腐ではなく。