地味役
おとといの朝。
電話が鳴りました。私は朝食が済み、「あさいち」を見ながら床に転がって二度寝をしている真っ最中でした。
「姉だ。あなた、今日、出掛ける?」
二世帯同居している実の姉です。離婚して独身で働いています。母と二人で隣の世帯で暮らしているので、普段は顔を合わせない日もあります。
「なに、忘れ物?」
「財布」
「持ってくよ。何時に持ってけばいいの」
「アータに合わせる。いつでもいい」
「だって、お昼、困るでしょ、今日のシフトだと何時なの」
「2時。それまでに欲しい」
「わかった、支度して、出る時、また連絡する。30分後くらいに、携帯、気にしてて」
「助かる」
こうして、駒沢の家から3駅目の渋谷まで、届けに行きました。
これが、私を勇気づけました。
役に立った。
ピンチを救った。
できた。
もう、子供のお使いレベルなのに、健康でない時は、家の中を這いつくばっていたので、とても対応できなかったことなのです。
不意の連絡に、即、対応できた。
できた〜。
この前の、総理の総活躍という発言を取り上げたテレビが結構、根強く私の中でくすぶっていたようです。
活躍はできない。私には。
活躍って言葉の意味を調べた。目ざましく、活動すること。
目ざましいとは。目が覚めるほど素晴らしいということ。
目が覚めるほと素晴らしい活動。
私の専門外だ。
卑屈になるのではなく、現実的に見ると「目ざましくはないが、地味に役に立つ→地味役」が私が心がけるポジションなんだ。
今は。
これからもっと元気になって、本当に活躍できる人になれるかもしれないけれど、今は地味役をしっかりこなそう。
「あなた、活躍してますか?」
って聞かれたら胸を張って
「いえ、地味に役立っていると思います」
と答えよう。