お気楽日和

誰かに手紙を書く気持ちで、事件性のない平凡な毎日を切り取ってみようと思います。

充実だの納得だのいう前に

朝、ニコニコ笑って手を振って出て行った息子が、頭がいたいと呻くだけで、うるさいくらいダジャレを言って踊っていた息子の存在がどんなにありがたいものだったかと思う。

いつもそうだ。

インフルエンザになった時も、肺炎になって入院した時も。ちょっとした疲れで微熱が出ているときだって。

いつも、そうなってみてから、慌てて、あぁ元気でニコニコしていてくれれば、それで十分。と思う。

多分、私もそうなんだろう。

私が何か立派なことをして見せなくても、充実した一日を過ごしていようがなかろうが、ケラケラのんきに笑って、普通に生活していることが、家族のこころの安定につながるのだろう。

本当に、そうなのに、どうして私は。

何かしようとするのだろう。

今の私は、普通に生活しているけれど、まだ、昔のようにゲラゲラ大笑いするほど心も体も元気じゃない。

自分の満足のための生活に目がいきすぎていた。

まずは、ケラケラ笑おう。

なにか言われるとすぐ、心が乱れてズンと沈むところから一歩、上へ。

ふん。って図太くはねのけてカラッと笑う、いいオンナになろう。

 

アクシデント

今日はなぁんにもせず。

息子のアルバイトに付き合って私も4時半に起きたら、午前中は使い物にならず。

見送ってすぐ散歩に出かけたっきり、あとは朝食をとったあと床に転がってテレビを見ながら居眠り。転がりながらアイパッドでユーチューブを検索して、眺めるも、気がつくと寝ていた。

夕方、散歩がてら薬局とユニクロとスーパーをぐるっと歩いて帰ると、さっきまで私が寝っ転がっていた場所に息子が転がっている。

「どうしたの?」

「・・・頭痛い」

熱中症だ。野菜ジュースに少し塩を入れて飲ませ、頭痛薬を渡す。干してあったシーツを取り込み、セットして、彼の部屋のエアコンをつけた。

「ほら。二階、涼しくしたから。ここより休まるから少し寝ておいで」

「う〜」

「今夜は夕飯、いらないかな」

「昼、食べられなかったからお腹は空いてる・・・」

「食べるんだ」

「食べる。痛すぎて今は無理だけど」

よかった。食べたいと思うなら少し安心。

今日、無理して私、頑張らなくてよかった。

受け止められてよかった。

一郎くん

5年生の夏休み。

夕ご飯を食べていると一郎くんがやってきた。

「とんちゃん、星の観察いくよ」

学校の宿題で一時間ごとに夜空を見上げて、星座がどう動いたかを観察して、ノートに書くというのをやるためだ。

一郎くんはこの新興住宅地の団地に越してきた時からの幼馴染。うちのお姉さんと一郎君ちのお姉さんが同じ学年で、一郎君ちには下にもう一人、妹がいる。

年齢が近い子供を持った母親通しが気があって、付き合い始めたのだろう。一緒にお祭りに行ったり、親がいない時は相手の家で夕飯食べたり、半分親戚みたいな家族なのだ。そこの上から二番目が一郎君。私と同じ学年。

「ちょっと待って」

というのを待たず、ずかずかと食卓にやってきて、食べてるご飯を見て、

「いいな。とんちゃんち、ご飯の時、ジョア飲むの?」

「今日はおばさんが出かけたから、特別なのよ、いつもは飲まないわよ

、そうだ、一郎君も、飲む?」

お母さんは一郎君のお母さんが、子供にスナック菓子や甘い飲み物を与えないのを知っているので、自分が甘やかしていると思われるのを恐れて、今日は特別なんだと何度も何度も言った。

「お母さんにとんちゃんの家で夕飯の時にジョア飲んでたって言わないでね」

ジョアをぐびぐび飲みながら「うん」と返事はしているけど、多分、言うだろう。

「ほら、早く行きなさい」

お母さんに急かされて、急いで食べてとんちゃんは支度する。支度しながらちょっとウキウキしてる。一郎君と二人で外を歩くってなんか特別。

なんか照れくさい。