24時間営業のスーパー
朝、息子が出て行ったのが6時40分。ふらふらと散歩に出た。
7時ちょっと前の時間帯は、ちょうど出勤、通学組がちらほら街を歩き出す。
髪をきちんと整え、スーツ、制服をビシッと決めて革の光った靴で歩いていく。
その脇を化粧もせず、ボサボサの頭でスウェットに夫のお古のギンガムチェックのシャツを着て、汚いスニーカを履き、もたもた歩く。いつもは公園に行ってぐるっと一周して帰ってくるのだけれど、今日に限って、何かちょっと違うことをしてみたくなった。
そうだ、隣の駅の近くに確か24時間営業のスーパーがあったな。あそこ行ってみよう。
恐れを知らぬ私は、その薄汚い格好のまま246を歩く。その横を渋谷行きのバスが出勤、通学の皆様をびっしり乗せて走る。タクシー。トラック。マイカー。まっとうな生活の始まりの皆様。
あったあった。ここだ。
確かに8時前でも開店していた。すごい。本当にやってるんだ。
店内に入って、朝っぱらから、ひき肉と野菜とアイスクリームを買う。これで、今日の夕飯の買い物も済んだ。
時間が上下移っただけなのに、妙に興奮する。
スーパーに行く時間に縛りがないなんて。夜中でも早朝でも。これでまた1日を自分の思うままに過ごしても大丈夫ってことになったなぁ。
テレビも見たいものは録画するようにしてから、テレビに合わせて自分の1日を過ごすことがなくなった。
多分、このスーパーをしょっちゅう使うことはないけれど、ここがあると思うと、「あぁ、そろそろ買い物行かなくちゃ」と焦ることも減る。いざとなったら夜中、買いに行ったっていいんだから。
どうってことのないことなのだけれど。
何かとても自由を得たような気分。
思いついたその時、動けるってこんなにも気分を軽くするんだな。
お籠り基地
納戸に自分の小さな基地を作った。
寝室に置いてあった高さ1メートル暑さ20センチの本棚を持ち込んで、折りたたみのデッキチェアとIKEAで買った5000円のグラグラするサイドテーブル、無印良品の電気スタンドにラジオ。
窓際の2畳ほどの余ったスペースに自分だけの場所ができた。
リビングも寝室とも違う。この狭い空間。篭る感じがワクワクする。
狭い納戸の扉を閉めると、一瞬にして家事から家族から、遮断される。
この快感はたぶん安心して、自分空間に入り込めるから。
家にいると、家族が不意に話しかけてくる。だから、私は家では思考の旅には出ない。娘と母と妹としてスタンバイしている。
一人っきりになった時、頭の中は心と繋がって、自分の中に潜っていく。深く深く潜っていく。
そのとき私は、昔からの一番の友達、自分に会って心の中でおしゃべりする。
自由なとき。
頭がほどけるとき。
いいな
朝の公園。
何も喋らずじっと、日が昇ってくるのを待つ二人。